AIIT(産業技術大学院大学)PBL活動の前期成果発表会であった、答えにくい質問とその対応方法の考察をまとめました。
PBL活動では、研究室単位で3名~7名のチームを組みプロジェクトを遂行します。
成果発表会は、年に2回(夏/冬)に行う活動内容と成果物を報告する会です。
今回はそのPart4として、私が実際に見た答えにくい質問と、対応についての考察を説明します。
※あくまで考察です、実際に対応できるかどうかは分かりません
質問になっていない
最初は質問になっていない質問???というかコメントのパターンです。
それおかしくない?
- 質問:発表の中で「論文を調査し着想を得た」とあったけど、それおかしくない?
質問か罵倒かわからないコメントです。
この質問をくらった方は戸惑いながら発表内容を説明しなおそうとして、さらに詰められる気の毒なことになっていました。
ここでの正しい対応は以下であると思われます。
- 回答:着想を得ただけである。盗用したわけではなく独自性は確保している。何もおかしくない。
それはビジネスではない
- 質問:発表内容は顧客にどのような価値を与えるものであるか?
- 回答:~~~というものを想定しているが、ビジネスプランは後半学期に検討する。
これに対し、なぜか「それはビジネスではない!!それでビジネスを語っていただきなくない!!」と罵倒されていました。
完全な言いがかりです。質問ですらありません。
質問者がそれを言い捨てた時点で時間となりました。これはもう無視するしかないと思います。
発表がわかりにくい
- 質問:最初に深い話をしていた、あれでは聞いている人が戸惑うのでは?
- 回答:失礼しました。気をつけます。
質問ではなくダメ出しのコメントでした。発表者は以下のように素直に謝って切り抜けていました。
わざわざ質問の時間を使って発表方法に文句つけられても困ると思います。
未解決の課題を問われる
発表内容の中で未解決の課題について質問されるパターンです。
作ったシステムの原因不明の挙動について
- 質問1:Dockerを使ったら負荷が減ったという話があったが、これは理由を説明してほしい。何が原因で負荷が減ったのか???
- 回答1:一般論としては~~で、Dockerを使うことで~~~
- 質問2:それでは答えになっていない。発表内容を繰り返しているだけだ。
- 回答2:ええとですね・・・・(同内容を繰り返す)
質問としては至って正統的です。不明は不明で以下のように答えるのが良かったのではないかと思います。
- 回答:システムの完成を優先したため原因の究明はできていない。後半学期の課題である。
実際にはこの時、他のPBLの教員が「おそらくは~~~だろう」と答えを言っていました。いいんでしょうかこれ???
プロジェクトについて問われる
プロジェクト自体について問われることもあります。心理面でも情報面でも非常に答えにくいです。
あなた方のプロジェクトの成功/失敗の定義は?
- 質問:プロジェクトの成功と失敗についてどのように定義しているかを知りたい。
- 答え:プロジェクト憲章にある納期や品質、コストを達成できれは成功と考えている。
これはプロジェクトマネジメントがテーマのPBLの答えでした。 他のPBLは調査内容や開発内容を検討しながら進んでいるため、成功/失敗を定義していない可能性が大です。 ここは成果発表会の資料を作成する際に考えておくことをお勧めします。他の回答としては以下のようになるのでしょうか。
- 回答案1:最終成果発表会において~~~~が稼働状態にあれば成功である。
- 回答案2:後半学期で~~~案をとりまとめ、成果を~~~として提出することである。
- 回答案3:脱落メンバーなしに、~~~を遂行し~~~を成果物として取りまとめることである。
前期のチームワークをこの場で自己採点して欲しい
- 質問:あなた方の前期のチームワークを一人ひとり自己採点してこの場で答えて欲しい。100点満点でいかほどか?
- 回答:(個人ごとに)~~点くらいです。
非常に答えにくい質問です。他のメンバーがいる前で悪い点は言いにくいです。 心理面を考えると、何点だろうが以下のように答えるのが酔いのではないかと思います。
- 回答:(堂々とした態度で)満点だ!!他にはありえない!!!
その他
その他、されると戸惑う質問についてまとめました。
声が小さく何を言っているのか聞こえない
- 質問:~~~~(ぼそぼそでよく聞こえない)
- 回答:すみません、良く聞こえないのでもっと大きな声でお願いできますか?
他に言いようがないですよね。後ろで聞いていた私もよく聞き取れませんでした。 マイク使ってるんですからもう少し口元に近づけて話すとかすればよいでしょうに。
プロジェクトと関係のない質問
- 質問:~~~についてはどうか?(プロジェクト外の技術要素についての質問)
- 回答:~~~についてはプロジェクトの範囲外であり、調査すらしていない。申し訳ありませんがお答えできることがない。
ここまでは普通ですが、この後に連続で質問されることがあります。
- 質問:いま世間では~~~が話題となっており、それに関連することなので大変気になる。
この場合「プロジェクト外で答えられない」と言い切った上で、一般論や参考情報をお話しお引き取りいただきます。 この時は偶然にも学会で見聞きした内容を覚えていたので、それを一般論として話して切り抜けられました。
- 回答:プロジェクト外ではありますが、一般論を参考情報としてお答えします。~~~は~~~と言われており~~~をするのであれば~~~を実装するのが望ましいと思われます。
どう考えても答えになってません。質問者がなぜこれで納得したのかがわかりません。
補足
発表会での質問について
教員も学生も、大抵は普通の質問をします。質問内容としては、発表内容の詳細や技術要素、具体的なエピソード、メンバーの役割、成果物、課題への対応方法などが多いです。 しかし、中には今回の記事で取り上げたような質問でないコメント、罵倒、プロジェクトと無関係な質問などがされることがあります。 正直どんな質問が来るか予想ができません。「こんなこともある」といった程度に心の準備をして、あとは出たとこ勝負にするしかないです。
私の時の質疑応答
私が2019年の夏に前期成果発表会をした時、発表時点で睡眠不足と疲労と緊張でヘロヘロでした。前日の夜までスライドの改訂をしていたせいです。
練習不足を恨めしく思いながら、どうにかこうにか発表を終え、質問に備えました。
教員からの鋭い指摘がとんでくるかと思いきや、質問はなぜか学生からしかありませんでした。
他のPBLはすべて教員から質問があったのにです。いまだに謎です。
AIIT(産業技術大学院大学)について
AIIT(産業技術大学院大学)とPBL教育について詳しくは、大学ホームページをご参照ください。