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【AIIT】PBL活動で報告書を量産した話 Part4:活動報告書

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AIIT(産業技術大学院大学)PBL活動で提出する報告書のうち、前半学期と後半学期の終了後に提出する活動報告書の書き方を説明します。

PBL活動では、前半学期と後半学期の終了後に活動報告書を提出します。
活動報告書とは、対象期間内における個人の成果を報告する資料です。 2Qの終了時(例年8月)に前半学期の報告書をDOCファイルで、4Qの終了後(例年2月)に年間の活動報告書をPDFファイルで提出します。

所属PBL

私が参加したPBL(研究室)は以下です。 まとめた内容は私が参加した範囲で見聞きしたものです。報告書の種類やルール、状況は年度や専攻により異なる可能性があります。

報告書作成の概要

報告書の種類

PBL活動で作成する報告書は以下の通りです。

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報告書の作成フロー

PBLで提出する報告書の作成フローは以下の通りです。今回は赤色部分「活動報告書」について説明します。

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報告書の概要

活動報告書は、前期に提出するものと後期に提出するものとで形式と内容が異なります
前期の活動報告書は以下の通りです。

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後期の活動報告書は以下の通りです。

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前期に提出する活動報告書について

前期に提出する活動報告書の作成

前期に提出する活動報告書では、1Q~2Qにおける個人の成果を報告します。
2019年度は内容について「2,000文字以上」以外の指定は無く、PBLメンバーは個々別々の書式と内容で作成しました。 目安はA4用紙3枚です(段組みなし、文字サイズ9ポイントで計算)。

  • 作成の頻度:年一度(2Q終了時のみ)
  • 提出先:学習支援システムにファイルをアップロード
  • ファイル形式:DOCファイル(DOCXファイルでも良いと思われる)
  • 分量:(2,000文字程度)
  • 内容
    • タイトル
    • 所属PBL
    • 学修番号
    • 氏名
    • 内容指定なし(2,000文字以上)

前期に提出する活動報告書テンプレート

前期に提出する活動報告書のテンプレートです。

 

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前期に提出する活動報告書のサンプル

私が提出したデータを加工したサンプルです。参考にしてください。 (文字数の指定が2,000文字以上のところ4,700文字書きました、どう考えてもやりすぎです)

# 1 はじめに
2019年度の成果を以下に報告する。2019年度のXXPBLのテーマは、プログラム1/プログラㇺ2の開発である。
1Q-2Qで機能要件に関係する調査分析および開発環境の整備を、3Q-4Qでプログラム本体を開発し、そのガイダンス資料を作成する。

# 2 プロジェクトについて
2019年度XXPBLのプロジェクトの概要を以下に説明する

<このあたりはプロジェクト計画書とSAよりテキストを流用>

## 2.1 プロジェクト概要
当プロジェクトのプロジェクト名は「オペレーション・スターダストゲイザー」である。
本プロジェクトのテーマはプログラム1、プログラム2の開発 である。
プロジェクトを通じて、プロジェクトメンバーが以下を達成 することを目的とする。
(1)システム開発技術の修得
 (2) 真に社会に貢献するサービスの公開
 (3) その他
    学会発表や学外との交流を通したプレゼンテーションおよびネゴシエーション能力の向上

## 2.2 年間通期プロジェクトのアウトライン
図 1に当プロジェクトのアウトラインを示す。当プロジェクトは3つのフェーズからなる。
最初に情報収集フェーズで開発技術およびプログラム1/2分野の調査を実施する。
次に企画立案フェーズでどのようなコンテンツを開発するのかの詳細を検討し決定する。
最後に開発フェーズで実際の開発とリリースを実施する。
1Q-2Qではこの中の情報収集フェーズと企画立案フェーズを実施した。

<マンスリーレビューのスライドから抜き出したスケジュールの図を差し込み>

# 3 1Qの活動と成果
1Qの活動と成果を説明する。

## 3.1 1Qの目標   
1Qでは、チームビルディング、コミュニケーション、システム開発における基礎知識の習得の3点を目標に定めた。
目標「チームビルディング」では、チームとして効率的に活動できるようにする。
目標「コミュニケーション」では、メンバー相互の理解を深めコミュニケーションの方法と手順を定め、円滑に連絡が取れるようにする。
目標「システム開発における基礎知識の習得」では、プログラム開発の前提として、開発環境や開発手法の基礎知識と技術を習得することを意図していた。

## 3.2 1Qの活動内容
1Qの活動内容をカテゴリごとにまとめて説明する。

### 3.2.1 PMとしての活動
1QではPMを務め、サブPMとともにプロジェクトの管理業務を行った。
PBL開始前は、メンバーおよびステークホルダ(先生方、先輩方、外部評価者など)の連絡先リストを作成した。
特に、GoogleDrive/Backlog/Slack/メーリングリストなどチーム内のコミュニケーションの基盤となるツールの設定とメンバーへの普及に重点を置いて活動した。
ここで整備したツール類はすべての場面で有効に活用できている。
PBL開始後は、主にチームビルティングとプロジェクト運営を行った。
タスクリストの整備や作業の割り当てスケジュール調整、作業量の見積もりを通じてそれ以降のタスク立ち上げの手本となるようにした。
それ以外には、PBL定例会議の主催、マンスリーレビューの手配、教員との連絡、その他プロジェクト運営に必要な調整を実施した。
チームのコミュニケーションには特に注意を払い、威圧的な印象を与えたりプレッシャーを与えることが無いよう配慮した。

### 3.2.2 メンバーとしての活動
メンバーとして各TLの統括するタスクに参加した。1Qで参加したタスクは、システム開発技術の調査およびで開発環境の整備である。
開発環境の整備では、環境構築の自動化と評価を行った。
環境構築の自動化は、VagrantおよびVirtualBoxを対象とした。それぞれVagrantを使用した構築手順の確認と構築スクリプトVagrantfileの作成、
および動作確認を行った。
環境構築自動化については、外部に展開するため構築手順書と構築手順の説明スライドも作成しマニュアルテスト(手順書通りに動作するかのテスト)も行った。
この成果によりゴールデンウィーク前には全メンバーで統一した開発環境を個人のパソコンで起動できるようになった。

## 3.1 1Qの成果
表1に1Qの成果物を示す。

<マンスリーレビュー時に作成した成果物リストの該当部分を差し込み>

# 4 2Qの活動と成果
2Qの稼働と成果を説明する。

## 4.1 2Qの目標
2Qではプログラム開発のための基礎的能力の修得、タスクのさらなる効率的実施、コミュニケーションの質の向上の3点を目標に定めた。
目標「プログラム開発のための基礎的能力の修得」では、フロントエンド・バックエンドに関する知識を習得するとともに、
技術文書の書き方及びプレゼンテーション能力を向上させる。
目標「タスクのさらなる効率的実施」では、メンバーの適性や興味に応じて役割を分担するとともに、
様々なタスクのリーダーを務めることによりプロジェクトの管理方法を理解する。
目標「コミュニケーションの質の向上」では、社会人と専業の学生など多様性のあるメンバーであるため理性的な討論になるよう心掛けた。
また若手と社会人を組み合わせて活動することで相互の理解を深めコミュニケーションの質を向上させることを意図した。

## 4.2 2Qの活動内容
2Qでは、プログラム1企画と前期成果発表会のタスクリーダーを務めた。
またプログラム1関連分野の調査を行った。以下に活動内容をカテゴリごとにまとめて説明する。

### 4.2.1 プログラム1の企画
3Qでプログラムの開発を行うため、その要求定義を検討し、そのタスクリーダーを務めた。
1Qの教訓から、検討会のの1週間前に中間報告会を設定しその時点の成果物を互いにチェックすることとした。
要件定義のとりまとめはメンバー全員が未経験であり、中間報告を挟まずに選考会を実施した場合、
資料のフォーマットや評価の観点が統一できず成果物のクオリティが低下することが考えられた。
結果として、中間報告で進捗を確認し教員からコメントをもらうことで細かい方針をメンバーで共有し選考会でば十分な品質の要件定義資料をもって検討することができた。
副次的な成果ではあるが一部メンバーがPBL定例会以外でも自習室で意見を交換していたことが品質の向上に役立ったと思う。
プログラム1の検討は十分に成功したと考える。

### 4.2.2 プログラム1関連分野の調査
プログラム1関連分野の調査分析を行い、結果を報告書および説明用のスライドとして取りまとめた。
ツールの機能と利用を調べる部分は比較的容易に終わらせることができたが、競合サービスの調査では、調べる範囲と粒度の調整に悩み、
ドキュメント作成能力が不足していることもあり非常に難航した。
最終的には政府刊行物などから代表的な事例を抽出し、その後抽出した事例に対して詳細を調べるとともに事例を分類して取りまとめることとした。
結果として10の事例を4分類して説明する内容になった。

### 4.2.3 前期成果発表会
1Q-2Qの活動内容と成果のとりまとめを行うとともに、前期成果発表会のプレゼンテーションを行った
(プレゼンテーションの前半部分は私が担当、後半部分は2Q PMが担当)。
成果のとりまとめにおいては、どのタスクがどのような位置づけであるのかの定義に非常に苦労した。
発表用の資料は8月某日に行ったマンスリーレビューのものを活用したが、前期成果発表会とは性質が異なるためそのまま流用することができなかった。
最終的に、教員の助言を参考にしつつメンバー間で「1Q-2Qのプロジェクト説明」と「プログラム1の企画」を中心に取りまとめることで合意し、
発表内容を組み立てることとした。
マンスリーレビューから前期成果発表会まで1週間しかなく、その間に資料の準備から発表練習まで行う必要があったため、
発表練習で抽出した問題点を資料に反映する方式で準備を進めた。
1週間に12回の予行練習と、2回の質疑応答練習を行い結果として前期成果発表会を成功させることができた。
プレゼンテーションから質問対応まで十分なクオリティを確保することができたと考えている。

## 4.3 2Qの成果
表 2に2Qの成果物を示す。

<マンスリーレビュー時に作成した成果物リストの該当部分を差し込み>

# 5 まとめ 
当プロジェクトの主目的はプログラム開発である。主目的に関連するタスクは着実に消化できており成果物も提出できている。
当プロジェクトの進行はおおむね順調である。
ただし、1Q-2Qの目標としていたコミュニケーションや成果物のクオリティ向上にはまだ問題があり、改善をする必要がある。
3Q-4Qではこの点を克服し、プロジェクトの目的と目標の両面で成果を確保できるようにしたい。

後期に提出する活動報告書について

後期に提出する活動報告書の作成

後期に提出する活動報告書では、1Q~4Qにおける個人の成果を報告します

  • 作成の頻度:年一度(4Q終了時のみ)
  • 提出先:学習支援システムにファイルをアップロード
  • ファイル形式:PDFファイル
  • 分量:A4用紙2毎(文字数指定なし)
  • 内容
    • プロジェクト目標
    • プロジェクトにおける私の役割
    • 活動内容と成果物
    • PBLで学んだこと,身に付いたコンピテンシー

後期に提出する活動報告書テンプレート

後期に提出する活動報告書のテンプレートです。

 

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後期に提出する活動報告書のサンプル

私が提出したデータを加工したサンプルです。参考にしてください。
2019年度は、大学側からテンプレートファイルとサンプルとして卒業生のファイルが配布されました。 以下のサンプルも大学側から配布されデータを参考(ほどんど同じ構成)で書いています。

# あらまし(アブストラクト)
現状ではXXXのような問題がある.そこで我々はプログラム1/2および,コンテンツを使用するための資料を開発した.
本稿ではプロジェクトの内容と成果物を説明する.

# キーワード
プログラム1,プログラム2,イノベーション,Society 2.0,航空宇宙

# 1 プロジェクト目標
2019年度XXPBLの目標は3つあり,1つめはシステム開発技術の修得である.
2つめは,プログラム1/2の公開である.3つめは,学会発表など成果物の外部への展開である.
前半学期にてシステム開発技術および開発手法の調査を実施,報告書をとりまとめた.
後半学期ではプログラム1/2の開発および説明資料を作成した.

# 2 プロジェクトにおける私の役割
1QではPMとしてプロジェクト計画書の作成,連絡用MLの設定や運営手順の確立などチームマネジメントとコミュニケーションマネジメントを実施し,
プロジェクトの立ち上げを行った.
2Q~4Qではプログラム1/2開発のタスクリーダーを行った.
目標1においては開発基盤および開発方法の策定を,目標2においては開発手法の調査を,目標3においては学会での予稿作成と発表を担当した.

# 3 活動内容と成果物
前期の活動内容と成果物を以下に記す.

## 3.1 前期活動内容
PBL開始当初,開発環境の構築が難航したため,Vagrantによる構築手順の自動化の自動化を目的として構築スクリプトVagrantfileを作成した.
環境構築自動化については,外部に展開するため構築手順書と構築手順の説明スライドも作成しマニュアルテスト(手順書通りに動作するかのテスト)を実施した.
この成果によりゴールデンウィーク前には全メンバーが開発環境を個人のパソコンに構築し起動できるようになった.

### 3.1.1 開発環境の構築
XXXはXXXの開発したWebアプリケーションのフレームワークであり,開発基盤として使用した.
使用したIDEが更新されたため,TLとともに内容を調査し,担当部分の内容と操作手順をスライドにまとめ説明資料として提出した.

### 3.1.2 先行研究の調査
プログラム1/2を検討する前段階として,既存のサービスについて調査分析を行い,結果を報告書および説明用のスライドにまとめた.
私はプログラム1と関連する技術要素を担当した.

### 3.1.3 プログラム1/2の企画
後期開発するプログラム1/プログラム2の要件定義を検討するため,要求定義のとりまとめを行った.
検討会は2段階で行い,その両方でTLを務めた.
結果として14の案を2つに集約し,後期に開発を行うこととした.

### 3.1.4 前期活動成果物
演習環境構築のためのスクリプトファイル,調査結果のスライドおよびドキュメント,
検討会の発表資料,先行研究の調査分析報告書,前期成果発表会資料などがある.

## 3.2 後期活動内容
後期の活動内容と成果物を以下に記す.

### 3.2.1 開発環境の改善
前期で作成した環境構築手順を改善し,VirtualBoxのエクスポート機能を使用して作成したOVAファイルを作成した.
これにより,所要時間5分程度GUI操作のみでの環境構築が可能になり,コンテンツ開発を効率化できた.

### 3.2.2 プログラム1開発
世界にイノベーションを巻き起こすサービスとしてプログラム1を開発した.
プログラム1は,Google Cloud PlatformにのDockerイメージを実装した環境で,Webアプリケーションとして実装した. 
私は開発環境の調査およびVPSの設定とチューニング、Docker-Composeのスクリプトファイル作成、
単体テスト、結合テスト、システムテスト、受け入れテストおよび品質評価を担当した。

### 3.2.3 プログラム2開発
ユーザーの生活を便利にする製品としてとしてAndroidアプリのプログラム2を開発した。
プログラム2開発ではTLとして進捗管理とネットワーク構築および,Google Playストアアカウントの調整を担当した.

### 3.2.4 プログラム説明資料の作成
開発したプログラムを円滑に展開するため,開発者向けの仕様書および一般ユーザー向け操作マニュアルを作成した.
私はドキュメント作成,スライド作成と,説明動画の作成を担当した

### 3.2.5 論文作成・発表・投稿準備
プログラム1の予稿を作成した.作成した論文を投稿し,発表した.

### 3.2.6 最終成果発表会対応
成果パネル/展示パネル,および演習コンテンツデモ動画の作成を担当した.

### 3.2.7 後期活動成果物
プログラム1,プログラム2,プログラム実装済のOSイメージ,開発環境構築用OVAファイル,
最終成果報告会成果パネル/展示パネル,演習デモ動画,予稿/学会発表スライドがある.

### 4 PBLで学んだこと、身についたコンピテンシー
勤務先においては,サービスの企画や競合製品の調査などを担当しており,研究型のプロジェクトに携わることはなく,プロジェクトの進行について学ぶことが多かった.
多様なライフスタイルを持つメンバーとプロジェクトを推進していく中で,コミュニケーションマネジメントとタスクマネジメントについての経験を得た.
また,技術面においてはGoogle Cloud Platformを用いた開発を行い,クラウド環境におけるシステムの構築について学ぶことができた.
その他,学会発表においては予稿の作成が非常に難航したが最後までやり遂げた.
その後に続く学会の予稿作成は比較的スムーズに行うことでき,進歩を感じている.

# 参考文献
教員の著書などを数件記載(書式はIEEEの規定に従った)

補足

報告書の過去データついて

産技大図書館には2015年度版の活動報告書のみおいてあります
司書に確認したところ、通常はPBL活動報告書の製本および蔵書は行っていない書架にある分ですべてだとの事でした(2020年2月に確認)。

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作業負荷について

大体3日くらいかかります。
内容を検討する必要はありません。プロジェクト計画書、マンスリーレビュー資料、学会発表の論文、SA(セルフアセスメント)を元に作成できます。 枚数に制限があること、過去の成果物とは異なる形式(WORDファイル/PDFファイル)であることから、体裁を整えるのにそこそこ時間がかかります。 特に、何をどこまで書くかは迷うところです。 成果物の説明部分は学会発表のテキストを、成果物リストなどはSAのテキストをコピペすると効率よく作成できます図表は学会発表スライド、最終成果発表会スライド、マンスリーレビュースライドから流用しました。 誤字脱字や図表番号の修正など書式のチェックには、そこそこ時間がかかります。注意してください。

感想

後期の活動報告書は最終成果報告会の後に提出ですが、2019年度の締め切りは発表会2日後でした
その締め切りも複数回変更されるなど対応が分かりにくいです。 最終成果報告会の準備でグロッキーになっていた私は、締め切り当日に4時間で書く羽目になりました(発表会当日と翌日は疲れ切って作業できなかった)。 そこそこきつかったです。

AIIT(産業技術大学院大学)について

AIIT(産業技術大学院大学)について詳しくは、大学ホームページをご参照ください。

aiit.ac.jp