【学問のすすめ】中世ヨーロッパ写字生のように黙って静かに手を動かすブログ

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【AIIT】PBL成果報告会:Part2 発表スライド/想定問答集の作り方

AIIT(産業技術大学院大学)PBL活動のPBL成果発表会で使用するスライド想定問答集の作り方とまとめました。

PBL活動では、研究室単位で3名~7名のチームを組みプロジェクトを遂行します。
成果発表会は、年に2回(夏/冬)に行う活動内容と成果物を報告する会です。今回は冬に年間(活動全部)の成果(1Q~4Q)を報告するPBL成果報告会で使用するスライドと想定問答集の作り方を説明します。

所属PBL

私が参加したPBL(研究室)は以下です。 まとめた内容は私が体験したものです。全体的なルール、状況は年度や専攻、所属するPBLにより異なります。


スライドの作成

プレゼンテーションの概要

プレゼンターション最終成果報告会で最も重要なコンテンツです。そのためスライドの作成と発表練習にはかなりの時間と労力がかかります。 教員からの指導もここに集中します。
学校側から指定されるプレゼンテーションの仕様は以下です。



発表形式はプレゼンテーションです。例年東京国際フォーラムのホールを貸し切り、PBLメンバーが登壇し大スクリーンにスライドを映しながら発表します。 発表者が壇上で説明し、それ以外のメンバーは壇の横で待機し交代に備えます。


発表時間は1チームあたり30分間が割り当てられ、発表が21分間、質疑応答が7分間、発表前後の移動が2分間です。


使用する資料は主にスライドですが、ファイル形式は規定されていません。発表者が持ち込んだPCにHDMIケーブルを接続して映像と音声を出力します。 そのため、必要に応じて音楽や動画を織り交ぜて発表する事もできます。2017年度のPBL成果報告会では発表の最初にラップ風の音楽を流したチームを見ました。


スライド構成

スライドの構成は、最終成果発表の発表内容に準じており以下のようになります。前期成果発表会とは異なり、外部向けに内容が調整されます(教員より指示されます)。



具体駅には以下のようになります。


  • プロジェクトの説明
    • チーム構成とメンバーの紹介
    • プロジェクトの背景 (どのような課題を解決するのか)
    • プロジェクトの目的 (どのような手段で解決するか)
    • 年間スケジュール
  • 成果物の報告 (発表の中心となる要素)
    • 調査し分析した内容の説明
    • 開発したもの(作成したもの)の内容を説明
    • 成果物のデモ (可能であれば動画を再生)
    • 成果物利用の結果(あれば)
    • 成果物の利用と評価 (課題を解決することができたか)
  • 教育の成果 (教育の成果を報告する必要がある)
  • まとめ


一般的な学会発表の形式(問題-研究の意義-研究内容-成果)に加え、プロジェクトの説明を行います。 また、PBLは「プロジェクト駆動型教育」であるため、どのような教育的効果を得たかを説明することが求められます(と指示されました)。
スライドに盛り込むべき情報は、成果パネル・展示パネルと共通ですが、発表時間が21分間あるため分量もそれ相応に増えます。


前期と後期で異なる成果物を開発した場合などは、成果物が複数となり説明の時間がかなり厳しくなります
この場合は、各成果物の説明をかなり簡略化するか、どちらかの成果物のみを説明するかを決断する必要があります。
個人的にはどちらかの成果物のみを説明することを強くお勧めします。 これまでいくつか発表をみましたが、複数の成果物を説明すると話題が発散し、何をしたのか記憶に残りません(体験談)。


スライド作成の方針と注意事項

スライド作成時の方針と注意事項は以下の通りです。



スライドのデザインは、チームによりかなり異なります。この方針をとっていない発表も多々ありましたが、かなり見にくくなってました。 スライドに細かい字を入れる、むやみにスライドの枚数を増やすなどはやめた方が良いです。


スライドの再利用

最終成果報告会で使用するスライドは、「プロジェクトの説明」パートのみ前期成果報告会のスライドを再利用することができます
プロジェクト紹介パートについて詳しくは、以下の「前期成果報告会 Part2」を参照してください。

www.pesia-one.com

それ以外のスライドは再利用がほぼできませんあきらめて新規に作成するほかないと思います(実体験)。


原稿の作成(任意)

可能であれば、スライドに対応した原稿を作成します。 原稿を作成しない場合は発表内容が発表者の頭の中にしかない事態となります。 発表者がインフルエンザで病欠したような時に対応できなくなるため、発表原稿を用意しておくことを強くお勧めします。


原稿は1分間=300文字を基準に作成し、文字数から発表時間を調整します。 最終成果報告会では 21分間 = 21 × 300文字 = 6100文字 (スライド1枚 200文字~250文字程度)となります。

原稿作成ツールなど詳細は前期成果発表会と同じです。以下の記事「前期成果報告会 Part2」を参照してください。

www.pesia-one.com


プレゼンテーション

発表メンバーの割り当て

発表メンバーの割り当ては、チームで任意に決めることができます。 これまで見たところ、以下3パターンがありました。



2019年度に私のチームが発表した時は、パターン1でした。 発表メンバーの入れ替わりで時間を取られること、メンバーが入れ替わると聴衆の集中が切れることが理由です。 PMが発表を担当する代わり、その他メンバーが質疑応答を担当する方式でした。


他ではパターン2を採用しているチームが多かったように思います。見ている側としては発表者が入れ替わっても気にはなりませんでした。
どのパターンを採用するかはチームごとの好みの問題だと思います。
パターン3は・・・何だったんでしょう。今なお発表最後のポエム唱和は謎です


発表時の注意と発表者への配慮

最終成果報告会においては、以下を配慮するとよりよい発表になると思います。


- 発表者の展示ブース割り当ては最後にする - 発表者が直前まで練習することは十分あり得ます。展示ブースの案内は他メンバーが引き受け、発表者は発表練習に専念できるよう配慮が求められます。 - XXさん直前までよくがんばってくださいました。本当お疲れ様でした。 - 発表時はゆっくり話す - 発表時はとにかくゆっくり話すよう心掛けるべきです。2019年度前期成果発表会では、ものすごい早口で話していた方、発音がいま一つ不明瞭な方など様々でした。 - 最終成果報告会ではどのチームも全員が適度なスピードでわかりやすく説明できていたことは、流石だと思いました。


質疑応答

想定問答集の作成

質疑応答への対応は、前期成果報告会と同様に行います。以下の記事「【AIIT】PBL前期成果発表会:Part4 答えにくい質問への対応(考察)」を参照してください。

www.pesia-one.com

PBL成果報告会では聴衆に外部の方も含まれます。 そのため、前期成果発表会に比べて、質問内容の予測がさらに難しくなります。 メンバー全員で質疑応答に対応することを考えますと、あらかじめ質疑応答練習を繰り返し想定問答集を作成し対策することを強くお勧めします。


過去に実際にあった質問から、質疑応答練習には以下の観点を入れると有効です。


  • プロジェクト範囲外の質問 (ほんと困ります)
  • スライドに不明点があるとの質問 (意外と答えられなかったりします)
  • 「それは違うのではないか」と批判する質問 (まともな質問ではありますが苦戦します)
  • 発表内容を無視して一般知識を問う質問 (何なんでしょう一体)
  • 「なぜこれをしなかった」と詰問 (やらなかったものはやらなかったとしか言いようがない)
  • 「お前はビジネスがわかってない」などと罵倒 (たまにあります)


他のPBLメンバーに発表練習を見てもらい、実際に質疑応答をしてもらうなども対策として有効です。 (やってみたらかなり有効でした)


補足

プレゼンテーションの小話と感想

PBL最終成果報告会はAIIT生活最後にして最大のイベントです。かなり厳しいスケジュールの中、右往左往しながら作業を進めているため、最悪の場合は前日の深夜まで作業がずれ込むことがあります(ずれ込みました)。
会場でメンバーの顔を見ますと目にクマができていたり、見るからに疲れ果てていたりします。
私のチームでは、発表者がほぼ徹夜で練習をしていたり、私は私で前日にブースに配置する展示物を印刷して荷造りして発送したり展示用のPCを設定したり色々やってました。
発表時はメンバーの一人が壇の裏側、聴衆から見えないところで、「よっこいしょ」とか言いながら座る謎のギャグかましてきたり。 発表終わったら終わったで、プロジェクト範囲外の質問を3連続で受けたり、それ全部私が対応したりと色々ありました(誰か他のメンバーも前に出て答えてよ\(^_^)/)。 発表には万全とは言い難い体調で臨むことになります。発表内容だけは各メンバー脊髄反射で口にできるくらい頭に叩き込んでおいた方が良いと思います。

AIIT(産業技術大学院大学)について

AIIT(産業技術大学院大学)について詳しくは、大学ホームページをご参照ください。

aiit.ac.jp